和漢コラム腰痛の悩みにCOLUMN
腰痛に湿布薬は早計?知っておきたいメリットとリスク
腰痛の「アイタタタ…」を比較的短期間で和らげてくれる湿布薬。温感タイプ、冷感タイプなど、薬局には実に多くの商品が並んでいます。どう違うのかな?今の痛みにはどれが効くのかな?と迷われることもあるでしょう。
湿布薬の主要な効能は消炎・鎮痛作用。腰痛には、その作用が有効に働くタイプと、そうではないタイプがあります。「痛い、とりあえず湿布薬」の前に知っていただきたい、基本的な対処法をご紹介します。
また湿布薬は手軽に使えるけれど「経皮吸収型鎮痛消炎剤」という医薬品。
そこで、あらためて使用上の注意事項と副作用のリスクについてもまとめてみました。
鈍痛?激痛?まず腰痛のタイプを見極めよう
腰痛には「慢性」と「急性」があります。症状を改善させるには、腰痛のタイプを見極めて適切な対応をすることが重要です。
慢性腰痛には血行改善を意識しよう
慢性腰痛の場合は「温めて血行改善」が基本。
激痛ではないから、身体を動かすことはできるけど、ここしばらく何だか腰に違和感がある…、そんな状態が3ヵ月前後続いていたら、それが「慢性腰痛」です。違和感は、鈍痛やコリ、張りなどさまざまです。この場合はその違和感が「結果」として表れていて、「原因」は別にある場合が多いのです。
慢性腰痛の原因の一つは、筋肉の血行不良といわれています。筋肉に力が入り、だんだん硬くなって毛細血管が圧迫されると、血行が滞ってしまいます。すると疲労物質がたまりやすくなり、痛みにつながるのです。
基本的な対処法として「温める」ことが重要ですが、痛いところを温めるのではなく、身体全体の血流をよくすることによって、痛みを感じる疲労物質をためないようにします。
では「温感湿布薬」を貼れば体が温まって血行改善できるのでしょうか?
実は「温感(冷感)湿布薬」には、「温かく(冷たく)感じさせる」効果はあっても、体温を上下させる効果はありません。
痛みを誘発する疲労物質の増加には、以下の4つの原因が考えられます。対処法は、それぞれのコラムをご参照ください。
・体の冷えによる血流(血行)の悪さ(血管の収縮)
・腰を支えている筋肉の縮みや衰え
・背骨や骨盤のゆがみ
・心理的ストレス
慢性腰痛の場合、痛みがひどいときに湿布薬を貼れば、一時的な鎮痛効果は得られますが、原因そのものへの働きかけは期待できません。
「今痛いところ」よりも「身体全体の血流」に意識を向け、入浴や食事、着衣、運動、リラクゼーションなど、日々の生活で血行を改善・予防していきましょう。
急性腰痛の早期処置には湿布薬、次に改善・予防策を
急性腰痛の場合は「まず冷やす」のが基本。
生活に支障をきたすような激痛の場合は、急性腰痛の可能性があります。
シンプルな判断方法ですが、痛い箇所に手を当てて、体の他の箇所よりも熱を帯びているか、腫れを感じるかどうかを確認してみてください。やや熱いと感じられたら、それは組織が炎症を起こしている証拠。
重たいものを持ち上げたときに起こる急性腰痛、一般的に「ぎっくり腰」といわれる状態です。
急性腰痛の対処法として大事なことは、まず安静にすること。特に、痛めた箇所を無理に動かさないように気をつけてください。
次に、炎症を起こしている箇所を冷やして腫れをひかせ、痛みを抑えることが重要です。腫れた箇所を冷やすことができれば氷嚢でもいいのですが、生活動作をスムーズに行うには湿布薬の使用が現実的。「温感タイプ」でも「冷感タイプ」でも、炎症・鎮痛作用は変わりません。
2~3日、最長でも1週間程度で、腫れはひいてきます。そこで、いったん使用を中止してください。痛みが治まったら、次は「慢性腰痛」と同様、基本的には「温めて血行を良くすること」で改善・予防を心がけてください。