和漢コラム腰痛の悩みにCOLUMN
腰痛はおしりのコリや利き尻からも。その原因と対策4つ
腰痛に悩んでいると、腰の痛みのみに注目してしまいますが、実はおしりも腰痛と深い関わりがあります。おしりの筋肉の役割は、腰部にある骨盤を支えて、立ったり歩いたりするときにからだのバランスを保つこと。おしりの筋肉がこって疲労物質がたまったり、どちらかのおしりに重点的に体重をかけて骨盤がゆがんだり、筋肉が低下して骨盤を支えられなくなったりすると全身のバランスが崩れ、それが腰にも大きな負担に。
このコラムでは、なぜおしりが原因で腰痛が起こるのか、おしりからくる腰痛を防ぐために日常生活で気をつけたい点などをご紹介します。
腰痛はおしりの筋肉のコリ・筋力低下にも一因が
おしりには片方だけで9種類もの筋肉がついていますが、そのなかで腰痛に関わってくるのは、おしりをすっぽりおおっている「大殿筋(だいでんきん)」と、その奥にあり骨盤の側面に位置している「中殿筋(ちゅうでんきん)」。
大殿筋は脚を後ろや横に動かす役割があり、骨盤を支える土台にもなっている重要な筋肉です。長時間にわたって座りっぱなし、立ちっぱなしなど同じ姿勢を取り続けると大殿筋に負担がかかり、中を通っている毛細血管が圧迫されて血流が停滞。それにしたがって血管の中を通る酸素や栄養素がとどこおり、たまった疲労物質を排出できなくなります。そのため筋肉がこり、骨盤を通してつながっている腰の筋肉にも影響し、腰痛を起こす一因になるのです。
中殿筋は骨盤と股関節を結ぶ筋肉。歩行時や直立時に左右から骨盤を支え、下半身を安定させるとともに、上半身のバランスをとる働きをします。
そのため筋力低下や筋肉疲労・コリなどにより中殿筋の機能が低下すると、骨盤がゆらいで下半身が不安定になり、それにともなって上半身のバランスも崩れがちに。それが続くと、上半身を支える腰の筋肉にも負担がかかり、腰痛につながることになるのです。
中殿筋のほかにも股関節を支え、おしりに関係する「梨状筋(りじょうきん)」という筋肉があります。梨状筋はおしりの奥にあり、そのなかを坐骨神経が通っています。梨状筋がかたくなったり緊張したりすると坐骨神経が圧迫され、おしりに痛みやしびれが出る「梨状筋症候群」という症状が発生し、坐骨神経痛の原因になる恐れもあります。
坐骨神経痛の特徴は、おしりや脚が痛くなるまえに腰に痛みが出ることが多い点。坐骨神経痛は薬物療法や神経ブロック療法など、医学的な処置が中心。もし腰痛だけでなくおしりに痛みとしびれを感じる場合は、決して自分だけで解決しようとせず、まず医療機関を受診することをおすすめします。
腰痛は「利き尻(ききじり)」でも起こる
「利き尻」とは、いつも体重をかけてしまう方のおしりのこと。使い勝手のいい「利き手」があるように、おしりにも「利き尻」があるのです。
実はこの利き尻が腰痛の原因になることがあります。座るときに体重が左右どちらかのおしりにかたよると、骨盤も一緒にそちらへ傾斜。それにともなって骨盤につながる背骨も傾くので、からだは倒れないために上半身を反対方向に傾けます。このアンバランスな姿勢が腰の筋肉に負担となってしまい、腰痛の原因になることがあるのです。
あなたはどちらかのおしりにかたよって座っていませんか?簡単なチェックをしてみましょう。
「利き尻」の見分け方
- 左右どちらかに脚を伸ばし、床に横座りになる。このとき、上半身と腰は床と垂直に保つ。
- 反対側も同じように横座りをする。
- ラクだと感じた座り方をしているとき、床についている方のおしりが利き尻。
差を感じられない場合は、バランスの取れた座り方ができているでしょう。
続いて、利き尻ができることによって腰痛が起こりやすい座り方をご紹介します。
- 脚を組んで座る
脚を組むことでからだがねじれ、下になっている方のおしりに体重がかたよります。できれば止めたいクセですが、長年の習慣で「脚を組まないと落ち着かない」といお悩みの方は、せめて左右交互に、定期的に組みかえるよう意識を。 - モデル座り
両脚を揃えて左右どちらかに流す座り方。骨盤が脚先と逆の方向に傾き、片方のおしりに全体重がかかります。改善するには、脚をよく流す方向と反対の向きにする時間を増やしましょう。
利き尻による姿勢の崩れを防ぐには、左右のおしりに均等に体重がかかる座り方がおすすめ。
イスに座って利き尻の側にある脚を引き、両脚のつけ根を30度(ひざとひざの間に、両手の握りこぶしが横並びでゆったり入るくらい)ほど開きます。これで骨盤が起きて水平になり、姿勢が安定します。引いた方の脚は、足の裏全体が地面にしっかりつく位置でキープを。
前に出した方の膝とつま先は同じ方向を向くようにすると、猫背も防げます。ちなみにこの座り方をすると、立ちあがるときも腰に負担がかかりにくくスムーズ。