和漢コラム腰痛の悩みにCOLUMN
腰痛改善ウォーキングの方法と、日々の習慣にするヒント
腰痛の症状がなかなか良くならないのは、筋力の低下と心理的なストレスが主な原因といわれています。
改善には「筋肉の機能の回復」と「ストレスの緩和」という、心身両面からの対策が有効。そこでおススメしたいのが、特別な道具もいらず、誰でもすぐに始められるウォーキングです。
このコラムでは、ウォーキングが腰痛改善に良い理由と、歩き方のコツを具体的にご紹介。
また、楽しく気軽に続けられるヒントも併せてお伝えします。
ウォーキングは心身両面から腰痛改善にメリットあり
鈍い痛みが3ヵ月続いている、痛みの度合いもまちまち…。そんな慢性腰痛には、大きく2つの原因があるといわれています。
ひとつは腰を支える筋肉の衰え、もうひとつはストレス。ウォーキングがそれぞれにどのように役立つのか、ご説明します。
腰回りの筋肉の柔軟性を回復する
腰の動きは、複数の筋肉と連動しています。腰回りの筋肉が衰えたり、こわばってしまうと支えが弱まり、腰に負担がかかってしまうことが痛みを引き起こす原因の一つです。
腰の動きを支えている筋肉
- 腸腰筋(ちょうようきん:下腹付近から骨盤あたりにつながっている筋肉)
→足を前に振り出すときに使う - 内転筋群(ないてんきんぐん:恥骨から大腿骨につながっている筋肉)
→股関節を動かすときに使う - 腰方形筋(ようほうけいきん:肋骨下から骨盤につながっている筋肉)
→腰と骨盤を安定させる
これらの腰を支えている筋肉のこわばりをウォーキングによってほぐしましょう。腰を支える力が戻れば、腰への負担が減り、痛みの改善につながります。
筋肉には「温まると柔らかくなる」という性質があります。体内の血流がよくなると体が温まるので、筋肉が柔軟性を取り戻すことができるのです。
「筋肉を柔らかくして、腰を支えられる状態に戻す、その結果、腰の痛みを改善する」のが、ウォーキングの目的です。
神経伝達物質の分泌でストレスを緩和する
適度に運動負荷のある有酸素運動をすると、脳内に「幸せホルモン」が分泌され、気分が上向きになるといわれています。同程度の負荷の運動でも、勝ち負けやルール性がない方が、脳への負担が少なく「幸せ感」を得るには有利。自分のペースで行えるウォーキングは、まさにぴったりといえるでしょう。
「幸せホルモン」とは、セロトニン、ドーパミン、β-エンドルフィンなどの神経伝達物質。それぞれ幸せを感じさせる役割を持っています。
セロトニン:「自律神経を調整」、「痛みの緩和」
ドーパミン:「物事に対する意欲を高める」、「快楽の感情を高める」
β-エンドルフィン:「高揚感、幸せ感が得られる」
何らかのストレスを抱え込んでしまうことで腰痛を強く感じている場合は、幸せホルモンの分泌がストレスを緩和させ、痛みの軽減を促進してくれることもあります。
楽しくウォーキングすることで、少しでも改善の手ごたえを感じられれば、さらにウォーキングを続ける意欲が高まるという好循環にもつながるでしょう。
腰痛改善に役立つウォーキングのコツ
腰痛改善のための歩き方は?
歩き方の基本は「うつむかず、姿勢よく、リズミカルに」。急いで歩く、力いっぱい歩くのではなく、一歩一歩を楽しむ気持ちで始めましょう。
- うつむかず、顔を正面に向ける(頭頂部をひもで吊り上げられているようなイメージで)
- 景色を楽しむつもりで10mくらい先を見る
- お腹に力を入れて胸を張る(お腹は前に突き出さないように注意)
- 足の付け根がみぞおちあたりにあるイメージで足を振り出す
- かかとから着地し、足の外側、つま先の順に体重移動させる
- つま先はまっすぐ前へ(内や外に向くとひざの関節に負担がかかる)
- 肩の力を抜いて手を振る
歩幅の目安は?
歩幅が大きいと代謝が上がりやすくなり、ふくらはぎの筋肉の動きがよくなることで血流の循環もよくなります。歩幅の目安は「あなたの身長マイナス100cm」です。室内でスリッパを履いて、いつものように一歩踏み出し、その場所でスリッパを脱いで歩幅をメジャーで測ってみると、目安よりも長いか短いか確認できます。
目安の長さよりも短い場合は、少しずつ目安の歩幅に近づけていくようにしましょう。
歩幅を広げるコツは、股関節を動かすイメージを持ちながら、つま先で足をけり出して。足の運びが楽になり歩幅を広げやすくなります。
どのくらいのペースで?
週3回、15~20分程度を目安にしましょう。
最初は歩数や速度にはこだわらず、定期的に行うことから。距離や歩数で決めてしまうと、忙しかった日や、やる気が出ない日に達成できず、まじめな人ほどストレスを感じてしまいます。
時間で決めれば、その日の調子にあわせて調整もでき、楽しくウォーキングをすることができます。
歩く速度は?
歩く速度は、隣の人との会話が「楽に」できる程度から始めて、慣れてきたら、少しずつ速度を上げてみましょう。「なんとか」会話ができる程度まで速度を上げてみて、続けられるようならそのまま、きついと感じたら速度を落とす、という風に調整してください。苦しく感じるような速度にする必要はありません。
早く歩くと上体のバランスが崩れやすいので、肘を曲げて振るようにしてくださいね。
呼吸法も取り入れると有酸素運動に
ある程度ウォーキングに慣れてきたら、呼吸法にもチャレンジしてみましょう。しっかりと酸素を体内に取り込むと、有酸素運動の効果もアップします。心肺機能の改善や体脂肪の燃焼などに加えて、あなたの腰痛の原因のひとつかもしれない「ストレス」の緩和・発散も期待できます。
呼吸の仕方は、1歩ごとに吸ったり吐いたりを繰り返します。普通の速度のときは、1歩目と2歩目で2回息を吐いて、3歩目と4歩目で2回吸います。早足で歩くときは、1歩目から4歩目で4回吐いて、5歩目から8歩目で4回吸います。
【普通の速度のとき】
- 右足を出す ハァ
- 左足を出す ハァ
- 右足を出す スゥ
- 左足を出す スゥ
【早足で歩くとき】
- 右足を出す ハァ
- 左足を出す ハァ
- 右足を出す ハァ
- 左足を出す ハァ
- 右足を出す スゥ
- 左足を出す スゥ
- 右足を出す スゥ
- 左足を出す スゥ
途中で痛みが出た場合は?
ウォーキングの途中で、もしも腰に違和感や痛みを感じたら、無理して続けないようにしましょう。そして、なるべく早く座れる場所に行き、簡単な体操をしてください。
「腰をかがめるこれだけ体操」
- 腰かけ、足を肩幅より広めに開く
- ゆっくり背中を丸め、床を見ながら3秒間姿勢を保つ
これを1~2回行ってください。
すぐによくなるはずですが、次にウォーキングに出かける前に、痛みがないことを確認しましょう。あらかじめ、ウォーキングコースの途中で座れる場所をリストアップしておくことをおすすめします。