和漢コラム腰痛の悩みにCOLUMN
その腰痛の原因、ストレスと冷えの相乗効果かも。
慢性的な腰痛だけでも辛いのに、病院に行っても原因が分からないと言われると、さらに不安になってしまうものです。
そんな原因不明の腰痛について、最近注目されているのが精神的ストレスによる影響。人はストレスを強く感じることで、脳の痛みを感じる機能がより過敏になってしまいます。以前は感じなかった腰の痛みが鮮明になってくる。これがいわゆるストレスによる腰痛ということなのです。
また、身体の冷えも腰痛の大きな原因の一つですが、そんな冷えとストレス。お互いに影響しあっていることをご存知でしたか?
身体が冷えるとストレスを感じるし、ストレスを感じると冷えにもつながる。そんな悪循環は腰痛の大敵ともいえるでしょう。
今回は、ストレスによる腰痛のメカニズム、ストレスと冷えの関係とその対策第一弾をご紹介します。
ストレスがたまると、なぜ腰痛が起こるのか
精神的ストレスと腰痛の関係について、最近になって分かってきたことがあります。それは、脳内の痛みを感じるセンサーは、ネガティブ思考によって強まったり、ポジティブ思考によって弱まったりするということ。心にストレスを多く抱える人ほど、腰の痛みを強く感じてしまうというのです。
私たちの身体は痛みを感じると、脳からドーパミンやセロトニン(俗にいう、幸せホルモン)という神経伝達物質が分泌されて、痛みを抑えようという働きがおこります。しかし、不安や恐怖感など精神的なストレスを続けて感じていると、ドーパミンやセロトニンの分泌が低下して、痛みを感じやすくなることが分かってきました。慢性腰痛に悩む患者さんの治療現場でも、ストレスに対処する方法を取り入れる病院が少しずつ増えているようです。
ストレスと冷えにも深い関係があった
また、腰痛の原因として、ストレスのほかに、冷えも重大な要素の一つです。冷えによって腰の筋肉の血流が悪くなると、疲労物質などが流れにくくなって痛みを引き起こす原因となります。
このように腰痛の原因の代表選手ともいえる、ストレスと冷え。これらがお互いに影響しあって悪循環を起こしているとしたら、腰にとってはダブルパンチをくらったようなものです。
ストレスと冷えのメカニズムとは、
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ストレス→冷えの連鎖
- ストレスを感じると、自律神経のバランスがくずれて、交感神経が優位になる。
- 交感神経が活発になると身体が緊張状態になり、血圧が上がり、血管は縮んだ状態に。
- 血管が狭くなって血流が悪くなると、末端に血液が行き渡らなくなり、身体が冷える。
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冷え→ストレスの連鎖
- 身体が冷えると、熱を逃がさないように交感神経が働いて、血管を収縮させる。
- 交感神経が優位になると、リラックスできない状態になる。
多忙な毎日に加えて、気候変動などで寒暖差のはげしい日々を過ごす私たちにとって、無縁とは言えない、ストレスと冷え。健康に自信のある人でも体調をくずしがちなのに、慢性腰痛に悩む人にとっては深刻な問題です。
季節に関係なく、寒暖差には要注意
ここまで読んで、「ストレスも冷えも両方ある」という方も多いのではないでしょうか。
そんな方にとくに気を付けてほしいのが、季節の変わり目である3~5月と、夏の室内外の温度差です。気温の低い冬は、もちろん温かく過ごすことが大切ですが、寒い季節は誰もが温めることに注意をはらうもの。けれども、温かくなって気温が上がるにつれ、無防備になる人が多いのです。
また、ストレスと冷えどちらにも深く影響しているのが、自律神経の働き。そのバランスが大きく切り替わるのが、冬から夏へと季節が変わる3~5月です。気温の低い冬は、身体が緊張するため、交感神経が優位になる時期。逆に、暑い夏には血管が拡張して、副交感神経が優位になります。春は、交感神経から副交感神経が優位な状態へと変わるタイミングであり、一年のなかでも最も体調をくずしやすい時期だと言われています。
加えて、春は卒業入学、入社・転勤など、人間関係でも変化が大きい時期で、慣れない環境にストレスもたまりがち。さまざまな要因が重なって腰痛を引き起こすことが多い季節なのです。
また、真夏にも体が冷えている人は案外多いもの。エアコンで冷えた室内と暑い室外の温度差は、35度以上の猛暑日であれば10度以上にもなります。室内と室外を行き来するたびに、自律神経は体温を一定に保とうと混乱。血流が悪くなって冷えにつながったり、夏バテなどの原因となります。
さまざまな生活環境の変化を考えると、「寒い冬は体を温める」という概念ではなく、「一年を通して体を温める」という気持ちが必要かもしれません。