和漢コラム腰痛の悩みにCOLUMN
つらい腰痛、マッサージの上手な方法
慢性腰痛にお悩みの方のなかには、マッサージでずいぶん楽になった、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ところがその反面、「マッサージのあと、しばらくは楽になるけど、また痛くなる」という声もまた、よく耳にします。
このコラムでは、マッサージで痛みが軽減するメカニズムと、1人で手軽にできる上手なマッサージ方法をご紹介。マッサージサロンに通えない多忙な期間があっても、痛みの再発の不安も解消されるでしょう。
さらに、痛みがぶり返す理由と、その根本的な対策もお伝えします。マッサージの心地よさを上手に活用しつつ、痛みを繰り返さない毎日を手に入れて下さい。
マッサージで腰の痛みが軽減するメカニズム
慢性腰痛の重いような、だるいような痛み。なぜ痛くなるのか、まずその仕組みからご説明しましょ
痛みが発生するメカニズム
「疲労物質」の発生が「発痛物質」を生み、それが脳に「痛みの信号」を送る
無理な姿勢を長時間続けるなどで筋肉に過剰なストレスがかかり続けると、筋肉中に疲労物質が発生します。
疲労物質には筋肉を硬くし、周囲の毛細血管を圧迫する働きがあり、圧迫された血管は細くなって、血液が流れにくくなってしまいます。
この段階で筋肉をほぐすと血管も元の状態に戻り、血行が回復するのですが、そのままにしておくと流れてくる血液量が減ってしまいます。
すると、血流の悪化に伴い疲労物質が排出されにくくなり、さらに筋肉を硬くすることに。
通常、血液はその他の老廃物質も運んで体外に出しています。しかし血行が悪くなると、それらもやはり流れず体内に溜まり、硬い筋肉とともに末梢神経を刺激。
さらにその刺激が血管のまわりに「ブラジキニン」という発痛物質を発生させ、発痛物質が「痛みの信号」を脳に送ることになるのです。
- 筋肉に過剰なストレスが加わり続ける
- 疲労物質が発生し、筋肉を硬くする
- 血管が圧迫されて血流量が減る
- 疲労物質が筋肉に溜まってこわばらせる
- こわばった筋肉や溜まった老廃物質が末梢神経を刺激する
- 血管の周りに発痛物質が発生、痛みの信号を脳に伝える
このように痛み発生のメカニズムは、筋肉の疲労から始まって、脳にまでつながっているのです。
マッサージが痛みを和らげてくれるメカニズム
1. 血流を改善して発痛物質を流す
マッサージで筋肉のこわばりをもみほぐすと、筋肉は柔らかくなり、血管への圧迫が減り、血液が流れやすくなります。
血行が良くなると、溜まっていた発痛物質が排出され、痛みの信号が脳に送られなくなり、痛みを感じなくなるというわけです。
2. 手で触れてもらうことでストレス解消になる
人の手によるマッサージには、自律神経のバランスを整える作用があるといわれています。
お腹が痛いとき、頭が痛いとき、私たちは知らず知らずのうちに痛い場所に手を当てています。幼い頃、誰かに手を当ててもらうと、痛みが減ったように感じたのも同じ理由です。
人に触れられている心地よさに加えて、仕事や家事から離れたマッサージだけの時間や空間、マッサージ中の会話などもストレス解消に役立ち、自律神経を整えるのに一役買っているといえるでしょう。
腰痛を改善するセルフマッサージ
痛みを感じながらも、マッサージに行く時間が取れないこともありますよね。
そんなときには、家や職場でもできるセルフマッサージがおすすめ。自分の手が届きにくい腰や背中でも、身近にある道具を使うと意外と簡単にできるのです。
また、仕事の合間や電車の中などでも気軽にできる「ツボ押し」も併せてご紹介します。
セルフマッサージのコツ
セルフマッサージで注意したいことは、「痛みがひどいときには行わない」ことと、「力を加減する」こと。過度に強いマッサージは筋肉を傷めてしまったり、皮膚の赤みや色素沈着の原因になります。「痛すぎず、気持ちがいい」と感じるくらいが、適正な力加減の目安です。
1人でできる「靴下ボール」マッサージ
身近にあるもので手軽にできる、セルフマッサージの方法をご紹介しましょう。用意するものは、硬式のテニスボール2個と、靴下片方です。
- 靴下の中にテニスボールを2個つめて、「靴下ボール」を作る
- あおむけに寝て両ひざを立て、2つのテニスボールが背骨をはさむように、靴下ボールを背中や腰の下にいれる
- 足で床を押して体を前後に動かし、気持ちのいい痛みを感じる部分を探す
- 「痛気持ちいい部分」にゆっくりと体重をかけて刺激する
1ヵ所ごとに1〜2分間、靴下ボールでゴロゴロしてみましょう。
刺激が足りないと感じる場合は、片ひざを抱え込んだり、両ひざを左右に揺らすと、刺激が強まります。
座ったままできる「ツボ押し」マッサージ
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外関(がいかん)
手のひらの終わりから指3本分下にいき、そのまま手首を返した真ん中にあるツボ。
腰痛以外にも、体のだるさや頭痛、眼精疲労、リラックスする効果があると言われています。 -
後谿(こうけい)
手のひらから見て、小指の付け根より少し下、手相でいうところの感情線の端にあるツボ。
押さえてみて、少し痛みを感じるところです。
押される方の手の力は抜いて、指が丸くなっている状態の方が奥まで刺激を与えられます。
筋肉の緊張状態をやわらげ痛みを鎮め、肩こり、眼精疲労などにも効果があると言われています。
体を温めてから行うと、よりほぐれやすく
ストレッチやセルフマッサージは、入浴後など体が温まっているときに行うのがオススメ。
体が温まっていると、筋肉が柔らかくなり、体が動きやすくなります。すると、無理な動きで関節や筋肉を傷めてしまう可能性が低くなるからです。
ただし、血圧の低い人や自律神経のバランスが良くない場合は、立ちくらみやめまいを引き起こすことがあるため、入浴中に行うのは避けてください。