和漢コラム便秘の解消にCOLUMN
何をしても治らない便秘に!真の改善を呼び込む3つの鍵
便秘を改善するには何が必要だと思いますか?食物繊維、乳酸菌、オリゴ糖、ツボ押し、便秘体操やマッサージetc・・・それらも正解ではあるのですが、便秘対策を木にたとえると「枝葉」の部分。「根っこ」の部分ができていないと、枝葉をがんばってもなかなか実になりません。
便秘対策の根っことは、ズバリ「食事」、「運動」、「生活リズム」の3つです。この3つが三位一体となって、はじめて腸が元気に動きだし、気持ちの良いお通じにつながるのです。
「何をしても治らない便秘とつきあって、はや○○年。ちまたで便秘に良いと言われるものは全部試したけれど、どれもいまいち効果を感じられなかった・・・」そんながんこな便秘体質を自負するあなたにこそ、ぜひ読んでほしいコラムです。
食物繊維を食べても便秘が改善しない理由
「便秘にはとにかく食物繊維!」とやみくもに繊維の多い野菜をとっていませんか?そうした便秘対策では、いっこうに症状が改善しないどころか、逆に悪化させてしまうことも。
実は、食物繊維は便秘「予防」には効果的。でも「今まさに便秘で苦しんでいる」というときには、摂りすぎない方が良いのです。
その理由は、消化に負担がかかりすぎたり、便のかさが増えることで詰まりに拍車をかけ、便秘が悪化してしまうことがあるから。便秘中はごはんやうどんなど、消化の良い炭水化物がおすすめです。食物繊維を積極的に摂るのは、便の詰まりが解消してからにしましょう。
そしてもうひとつ知っておきたいことは、食物繊維には2種類あるということ。ひとつは水に溶けない不溶性食物繊維、もうひとつは水に溶ける水溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は、お腹に入っても吸収されず、かすになって出てくるので、栄養にはなりません。でもウンチのかさを増やし、腸のなかの不要なものを絡めとって腸内をキレイにお掃除してくれる、大切な存在。
もうひとつの水溶性食物繊維は、水に溶けるとゲル状になり、ウンチを柔らかく、滑りを良くして排便しやすくする働きがあります。さらに水溶性食物繊維にはもうひとつ、不溶性食物繊維にはないメリットが。それは、善玉菌のエサとなって善玉菌を増やす効果があることです。
善玉菌は水溶性食物繊維が腸内に入ってくるとこれをエサとして分解し、その過程で「短鎖脂肪酸」という酸性の生成物を出します。すると腸内環境が酸性に傾くため、酸性に弱い悪玉菌が減っていきます。さらに短鎖脂肪酸には、腸の粘膜を刺激して、ぜん動運動を促す働きもあることが知られています。
水溶性食物繊維を摂ることで、悪化しやすい便秘中の腸内環境を、しっかりと整えていくことができるのです。
水溶性食物繊維の多い食物は、干しプルーン、ライ麦パン、そば、ごぼう、オクラ、アボカド、納豆など。干しプルーンやライ麦パン、アボカドや納豆は調理の手間なくそのまま食べられるので、手軽に水溶性食物繊維を補給できておすすめです。
そばはゆでるときに水溶性食物繊維がそば湯に溶け出しているので、そば湯も残さずいただくとよいでしょう。
また、ごぼうを調理するときにはアクを抜きすぎないように。水にさらしすぎると、水溶性食物繊維が水に溶け出してしまうからです。ごぼうのアクはポリフェノールですから、体に害はありません。よく洗って泥を落としたら、さっと水にくぐらせる程度にして、水溶性食物繊維を逃がさないように調理しましょう。
もちろん不溶性食物繊維も便秘改善には欠かせない栄養素なのですが、善玉菌を増やす働きは期待できません。
便秘になりやすい人は、食物繊維のなかでも特に水溶性の食物繊維に着目し、積極的に摂りましょう。ちなみに、水溶性の食物繊維が多い食物には、不溶性の食物繊維も豊富に含まれています。ですから意識して水溶性食物繊維をじゅうぶん摂っていれば、不溶性食物繊維が不足することは考えにくいのです。「便秘予防には、水溶性食物繊維」と覚えておきましょう。
運動と便秘の密接な関係
原因不明の便秘に悩んでいるあなた、毎日どのくらい運動していますか?実は、適度な運動習慣には便秘改善に欠かせない、優れた働きが3つあります。
ひとつは、排便するために必要な筋力をつけられること。運動不足で腹筋が衰えると、排便のときにいきんでも、じゅうぶんに腹圧をかけることができなくなります。大腸への刺激不足で腸の動きが鈍り、便が渋滞しているうちに水分を取られすぎて便が固くなり、便秘になってしまうのです。このタイプの便秘は弛緩性便秘と呼ばれ、筋力のない女性や高齢者に多くなっています。
2つめは、乱れた自律神経を整える働き。消化器官は自律神経によってコントロールされているため、ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、胃腸の働きも鈍ってしまいます。
ちなみに胃腸が活発に動くのは、リラックスしている状態のとき。毎日あくせくと時間に追われていると、体を活動モードにする交感神経が優位になりすぎて、胃腸の動きが鈍ってしまいます。
その点、適度な運動は心や頭の緊張をほぐし、体をリラックスモードにする副交感神経を高めて自律神経を整える働きがあります。特にウォーキングのような軽い運動が体に負担をかけず、勝ち負けなどもないため、副交感神経を高めるのに最適です。
運動の3つめの優れた働きは、全身の血行を良くすることです。毎日ほとんど体を動かさず、パソコンの前に座りっぱなしという人は要注意。長時間同じ姿勢を取り続けることで体はコチコチに緊張し、全身の血流も滞りがちになります。血行が悪いと消化器官にもじゅうぶん血流が届かず、消化不良を起こすことに。
運動不足で胃腸の働きが弱っていると、食べた物をじゅうぶん消化できず、未消化のまま腸にまで届きます。悪玉菌は未消化の食べ物が大好きですから、悪玉菌が増え、腸内環境が悪化しやすいのです。