和漢コラム腰痛の悩みにCOLUMN
慢性腰痛、原因の場所はどこ?3つの動作で見つけよう
3つの動作でわかる、「その痛み」の原因の場所
痛みの原因の場所の特定は、「かがむ」「反らす」「ひねる」の3つの動作で行います。症状がひどくならないよう、まずはそっと動かしてみてください。
- 体を前に倒してみよう。痛い場合は(1)「屈曲型」慢性腰痛へ。
- 体を後ろに反らしてみよう。痛い場合は(2)「進展型」慢性腰痛へ。
- 体をひねってみよう。痛い場合は(3)「回旋型」慢性腰痛へ。
1. 体を前に倒すと痛い→「屈曲型」慢性腰痛
たとえば靴下を履くときや、椅子に座るといった前かがみの姿勢になったときに痛む…。これは屈曲型といわれるタイプ。痛みは腰回りに出ますが、原因の場所はお尻や太ももの裏側の筋肉です。
上体を前に倒すとき、腰回りの筋肉につながっている別の筋肉が動きを支えています。それはお尻や太ももの裏側にあるゴムベルトのような形状の筋肉が、腰の動きに合わせて伸縮することで、スムーズな動きを可能にします。
ところが、それらの筋肉が硬く伸びにくくなってしまうと、腰をサポートする機能が落ち、上体の重さを腰回りの筋肉だけが支えることに。腰痛は、負担が増えすぎた腰回りの筋肉が悲鳴を上げているようなものなのです。
「屈曲型」慢性腰痛の症状改善に効く対処法とストレッチ
腰に痛みの症状がある間は、なるべく前にかがむ動作を減らしましょう。そして、お尻や太ももの裏側の筋肉をほぐしていくストレッチを試してみましょう。
- 仰向けに寝て、片膝を腰まで上げる。上げた膝の裏に両手を回す。
- 天井に向かってゆっくり膝を伸ばす。その状態を5秒キープ。
- 元に戻し、反対側も同様に。左右10回が理想ですが、続けられる回数を設定してください。
膝を伸ばしたとき、太ももの裏側が伸びた感じがすると思います。こわばりがちな筋肉ですので、最初は無理せず、膝が多少曲がっていてもかまいません。毎日続けることが重要です。太ももの付け根と裏側を伸ばすと、股関節周りの筋肉がほぐれて関節が動かしやすくなり、だんだん膝を伸ばせるようになります。
※このストレッチは3つのタイプすべてに効果があります。
2. 体を後ろに反らすと痛い→「伸展型」慢性腰痛
このタイプは、椅子から立つときに腰の痛みを感じます。痛みの場所は背中側だと感じますが、原因の場所は、体の「やや前側」にあります。
背骨の前から股関節の内側にある筋肉や、太ももの外側の筋肉は、体の動きに合わせて伸び縮みしながら、やや前側で背骨を支えています。ところが、それらの筋肉が硬くなると伸縮性が落ち、体の動きに添わなくなってきます。もはや、背骨を支える力はありません。その結果、負担が増えた腰回りの筋肉が悲鳴を上げ、腰痛という形で表れているのです。
「伸展型」慢性腰痛の症状改善に効く対処法とストレッチ
痛みがある間は、体を反らしすぎないこと、丸まりすぎないこと。
座るときには、しっかりと深く、90度に近い状態で椅子に座るのが痛みを避ける方法です。そのために、お尻の後ろに丸めたタオルを入れるなどして、背筋が伸びるよう調整してください。
就寝時には、仰向けで寝ると腰が反って痛くなりやすいので、横向きで寝るようにしてください。背中が痛いと感じたら、自然に寝返りを打って痛みのない姿勢に変えられるよう、適度な硬さのある寝具がおすすめ。
では、股関節を柔らかくするストレッチをご紹介しましょう。
- 仰向けに寝て両腕を左右に広げる。
- 片膝を直角に曲げて、腰まで上げる。上げた足を横に倒す。
- 元に戻し、反対側も同様に。起床時・就寝前に続けられるよう、無理のない回数で。
上げた足を横に倒したときに、股関節が伸びているのを実感できると思います。もし、つっぱり感があるようなら、無理に伸ばそうとせず、少しずつ慣らしていってください。
慣れてきたら、ウォーキングなどでも股関節を少しずつ動かし、やわらげることを心がけましょう。
3. 腰をひねったり、体を横に傾けると痛い→「回旋型」慢性腰痛
後ろのものを取ろうとしたら、呼ばれて振り返ったら、痛かった…。こういう場合は、回旋型慢性腰痛と考えられ、幅広い年代で起こる可能性があります。ゴルフやテニスなどの、体をひねる動作が原因の場合も。
この痛みの原因の場所は、腹筋の一種である腰方形筋(ようほうけいきん)にあります。この筋肉は腰椎の左右両側にあり、体を横に倒す動きを支えていますが、片側だけ筋力が強かったり、弱かったりすると骨盤の高さに左右差が生じ、痛みの原因につながるのです。
日ごろから片側にばかり重い鞄をかけるなど、左右差のある姿勢をとっていることで、片側に無理がかかり、体の使い方の左右差が知らず知らずに大きくなっている状況から引き起こされます。
「回旋型」慢性腰痛の症状改善に効く対処法とストレッチ
体の左右差を自覚することが第一歩。鏡を使って確認してみましょう。
- 鏡の前に立ち、目をつぶって右手を上げ、左手を左右対称と思うところまで上げる。
- 目を開けて、両手が左右対称になっているか確認。
→高さや角度が大きくずれていたら、体の使い方に左右差があることになります。 - 次に、鏡を見ながら手や足も左右対称に動かし、同じ程度の力で動かす感覚をつかみましょう。
痛みのある間は、体をひねる動作は避けましょう。振り返るときは下半身も一緒に。
そして、効果的なストレッチで骨盤の高さを揃え、左右のバランスを整えましょう。
- 仰向けに寝て、背中を起こさず、両手で片膝を抱える。
- ゆっくり太ももをお腹に近づけた状態を、5秒キープ。
- 元に戻し、反対側も同様に。左右10回が理想ですが、続けられる回数を設定してください。
※「伸展型」、「回旋型」慢性腰痛には、「屈曲型」慢性腰痛症状改善に効くストレッチも効果があります。
痛みの原因を取り除いて、「繰り返さない習慣」を
痛みの原因は腰そのものにはなく、腰の動きを支えている筋肉の衰えや、骨盤のバランスの崩れにある、という仕組みをおわかりいただけたでしょうか?
慢性腰痛の症状は、腰の動きを支える筋肉の伸縮性やバランスの機能が、普段の生活のなかで少しずつ低下した結果です。腰の痛みが出る前に、腰の動きの支えになっている筋肉を日常的に動かすようにすることや、片側だけに負担をかけず左右均等に動かすように意識することで、痛みの原因を作り出さずにすみます。
腰痛の予防策については、こちらもご参照ください。
「痛くなってから対処する」よりも、「痛くなる原因を取り除いて、繰り返さない」ことが大切。痛みを警戒しないで動ける、生き生きとした毎日を手に入れてください。