和漢コラム膀胱炎の改善にCOLUMN
膀胱炎はなぜ繰り返す?免疫力と腸内環境の関係
免疫力を高めて、繰り返す膀胱炎を予防しよう
急性膀胱炎であれば、一般的には清潔を心がけ、こまめに排尿するようにすれば、細菌の侵入と増殖を防ぎ、再発を防ぐことができます。しかし免疫力が低下している場合には、再び感染してしまうことも。
免疫力を高める方法は、実は腸内の免疫細胞に関係しているのです。
腸内環境を整えると全身の免疫力が上がる
最近の研究で、腸内の免疫細胞が全身の免疫力を高めることがわかってきました。
腸のおもな働きは栄養分を吸収し、人体に不要なもの、悪影響を及ぼすものを体外に出すこと。
食物には多くの細菌やウイルスなどが含まれ、腸の粘膜から最も侵入しやすいとされています。そのような病原菌や有害菌などの外敵を素早く感知し、攻撃し、排除するため、免疫細胞の多くが腸の粘膜などに集まっています。腸には人の体の全免疫細胞の7割があるとも言われています。
腸内の免疫細胞は、血液に乗って全身にも運ばれ、体の各所で病原菌やウイルスなどを攻撃。つまり、腸を正常に働かせることが全身の免疫力を高め、ひいては膀胱炎の感染も防ぐことになるのです。
膣内の乳酸菌が細菌の侵入を防ぐ
腸内の善玉菌といえば、おもに乳酸菌とビフィズス菌。
これらの菌は酸性物質を作り出し、腸内を酸性に保ちます。悪玉菌は酸性を苦手としているので、増殖を抑えることができます。
善玉菌のうち、ビフィズス菌は酸素がある場所では生きられないため、腸の外で働くのはおもに乳酸菌。
そして意外かもしれませんが、女性の膣内にも乳酸菌が棲んでいます。
乳酸菌には膀胱炎を防ぐ働きがあることが確認されており※、大腸菌などの悪玉菌の増殖を抑制しています。
※石井亜矢乃,難治性・再発性尿路感染症に対する乳酸菌プロバイオティクスに関する研究,科学研究費助成事業 研究成果報告書 2017
そのため、月経や性行為で不衛生な状態になったり、便秘が原因で大腸菌が増殖するなどの状態になっても、必ず感染するわけではありません。尿道口に近い膣内に乳酸菌がちゃんと生息していれば、それが大腸菌の侵入を防ぎ、感染に至らないこともあるのです。
膣内の乳酸菌は膣の分泌物を栄養として増殖すると同時に、乳酸を生成することで膣内を酸性状態に保ちます。しかし、疲労やストレスなどが蓄積された場合や閉経後には、女性ホルモンの低下により栄養分となる分泌物が減少し、膣内の乳酸菌も減少します。すると、膣内の酸度が低くなり、細菌の増殖を抑制する働きが低下してしまいます。そのため尿路を経由して細菌に感染しやすくなるのです。
つまり日頃から乳酸菌を意識して増やし、腸内も膣内も悪玉菌の増殖を抑制する状態を保っていれば、膀胱炎になる確率はぐっと低くなる、というわけです。
乳酸菌で免疫力アップして、膀胱炎も便秘も改善
膀胱炎の再発防止から、免疫力と腸や乳酸菌のお話になり、少し意外に感じられたかもしれませんね。
感染防止には、腸の免疫細胞が大きな役割を担っていること、おわかりいただけたでしょうか。
腸内に善玉菌、特に乳酸菌を増やすことで免疫力をアップさせれば、膀胱炎の再発防止にもなり、便秘や冷えの改善にもつながる可能性もあります。
悩みがいくつか減って、不安や不快な思いが少ない毎日が送れるようになれば、さらにストレスも軽減していく、そんな好循環にシフトすることも夢ではありません。
すっきり体調良好の日々を取り戻す意外なカギ、それが乳酸菌。
腸をいたわることを意識して、膀胱炎のことを気にしないで過ごせる毎日を手に入れましょう。
「膀胱炎はなぜ繰り返す?」に関するまとめ
Q.なぜ膀胱炎は繰り返しやすいのですか?
いくつかある原因のなかで多いのは、以前に発症したときの原因菌が残っていたケース。自覚症状がおさまっても、膀胱の中の原因菌が消えてしまったとは限りません。お薬は規定量を必ず飲み切ることと、抗菌作用の確かなお薬を選ぶことが大切です。
その他にも、細菌が入りやすい生活習慣、免疫力が低下することで細菌が繁殖しやすい状態になっているなど、いくつかの原因が考えられます。
Q.免疫力を高めると膀胱炎の予防になりますか?
膀胱炎は、大腸菌などの細菌が膀胱のなかに侵入して繁殖し、膀胱の粘膜が炎症をおこす病気。細菌が侵入することはよくあることですが、ほとんどの場合は尿で洗い流されます。しかし、トイレを我慢したり免疫力が落ちていたりすると、細菌が繁殖しやすい環境をつくることに。
予防のため、免疫力を高めておくことは大切です。ただ、膀胱炎の原因は他にも考えられるので、自分にあてはまりそうな原因を知って、対策を講じるようにしてください。
Q.膀胱炎は市販薬で治せますか?
持病がなく健康な人が膀胱炎にかかった場合は、急性膀胱炎であることがほとんど。症状が悪化していなければ、市販薬で治すことができます。
ただし、服用して症状がすぐにおさまったとしても、規定の量は最後まで飲み切るようにしてください。