和漢コラム便秘の解消にCOLUMN

この便量は少ない?多い?不安を解消するウンチの知識

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便の量は、他の人と見比べるわけにはいきません(当たり前ですが!)。
「少なすぎるんじゃないか?」あるいは「多すぎるんじゃないか?」と、不安に思っている人は意外に多いよう。不安の正体は、明確な比較対象や基準値がわからないことにもありそうです。

このコラムでは、日本人の平均的な便量とあなた自身の便量を比較する方法をご紹介しつつ、便の量が多い場合、少ない場合に疑われる原因や病気、それらの対処法について解説します。
さらに、気軽にできる「排便日記」の方法もご紹介するので、ぜひ快適な排便習慣につなげてみてください。

ウンチは体調のよしあしを教えてくれるバロメーター。食生活の乱れ、ストレスのかかり具合、病気の予兆など、量や形がさまざまな情報を教えてくれます。小さな変化も見逃さず、健康維持に役立てていきましょう。

日本人の便量の平均は、バナナ1〜2本程度

標準的なバナナの大きさを示した図現在の日本人の便の量は平均で1日150~200g程度といわれています。見た目はバナナ1~2本程度のボリューム。「だいたいそれくらいだな」という人は、標準的な量ですのでご安心ください。
バナナ型ではなく、ソフトクリームタイプの場合は、一般的な大きさのソフトクリーム1〜1.5個分くらいが標準です。

便器の水がたまるところは広いものでも縦の長さが20cm程度なので、それと比較して便の長さが3/4くらいなら標準量、半分以下なら少ない、はみ出すくらいなら多いなど、おおよその量を把握するのに役立ちます。
手の長さ(手首のしわから指先まで)の平均はだいたい18cm強なので、ウンチが出たら流す前に、自分の手をかざしてみるのも良いですね。手の長さと同じくらいなら標準量だと安心できます。

標準的なバナナの大きさを示した図

「うーん、バナナやソフトクリームとはちょっと違う感じなんだよな」という方は、こちらの表をご確認ください。
便の硬さ、形状、色などを分かりやすく示した「ブリストルスケール」という便の性状分類で、便秘や下痢の診断項目の一つとして使用されています。
硬い便、やや硬い便、普通便、やや軟らかい便、軟らかい便、泥状便、水様便の7種に分類され、それらの形状と消化管の通過時間の関連性が一目でわかります。

ブリストルスケールの図ブリストルスケールの図

消化管を24〜72時間ほどで通過するとバナナに近い形になるのですが、それよりも短ければ水っぽくなり、水分が多いぶん便自体の量も多くなります。逆に長ければ、硬く圧縮されて見た目は小さくなっていきます。
自分のウンチに近い形をチェックすれば、だいたいどのくらいの時間で便が腸を通過しているかをつかむことができます。

(1)標準量よりも明らかに便が多い場合

・ひんぱんな便意で日常生活に支障が出ている場合

この場合は「過敏性腸症候群(IBS)の下痢型」である可能性があります。
IBSの下痢型とは、男性に多い症状で、ストレスに反応して腸が異常な収縮を起こし、1日のうちに何度も腹痛などの不快感とともに便意を感じてしまう状態のこと。

日常生活に支障が出ることがあり、ウンチが出ると痛みが軽減する場合は、IBSを疑ってみてください。検査をして腫瘍や炎症などが見つからなければ、IBSの可能性が高くなります。

IBSの下痢型では、便が異常に早く大腸を通過するため十分に水分が吸収されず、泥水状や、柔らかい状態の便が出ます。便が水分を大量に含んでいるため、便の量も多く感じられます。

治療は、適切な薬で痛みや腸のけいれんをおさえながら、生活習慣を整えていくことが主眼になります。IBSかもしれないと思ったら、一度専門医の診察を受けることを検討してみてください。

・便が太い場合

便が硬くて太い場合は、腸の動きが低下することで起こる「弛緩性便秘」が考えられます。便を先へと送っていくために腸の筋肉が収縮を繰り返す「(ぜん動(ぜんどう)運動」が弱まることがおもな原因。高齢者や女性など運動量が少ない人に多いタイプです。

改善には適度な運動や筋力を付けることが一番ではありますが、高齢などで難しい場合には、便をツルンと出しやすくするオリーブオイルや、お腹のマッサージなどを試してみてください。便が硬くて出しづらい場合は、便を柔らかくする酸化マグネシウムなどの便秘薬も有効です。

(2)標準量よりも明らかに便が少ない場合

次に、しっかり食べているのに明らかに便が少ない場合を見ていきましょう。

・ウサギのフンのようなコロコロ便

主な原因として考えられるのは、ストレスによって腸がけいれんのような動きを起こす、「けいれん性便秘」。便が大腸のヒダの間に挟まったまま動けず、過剰に水分が吸い取られて、ギュッと押し固められているような状態です。

便が圧縮されるため、見た目の量は少なく感じますが、定期的に便通があり、すっきり感もあるなら、それほど気にする必要はありません。考えすぎるとかえってそれがストレスとなり悪化することもあるため、おおらかに構える方がよい結果につながります。
便を柔らかく出しやすくするため、水分をしっかり摂りつつ、オリゴ糖やオリーブオイルなどを食生活に取り入れるとよいでしょう。

・細い便

「便が以前より細くなった」と感じる場合は、単に食べる量が少ないという場合もありますが、大腸のガンや炎症といった病気のサインである可能性もあるため、注意が必要です。腫瘍などによって便の通り道が細くなるため、便も細くなってしまうのです。
肉食が多くて野菜が少ない食生活や、運動不足、大腸がんの家族歴などは、大腸がんのリスク因子。心配な場合は、早めに検査を受けることをおすすめします。

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