和漢コラムニキビの治し方COLUMN
繰り返すニキビの改善に、漢方がじっくり効いていく理由
ニキビに漢方がじっくり効いていく理由
西洋医学の皮膚科では、重症化したニキビには抗生物質を処方されることが多いでしょう。抗生物質は菌を殺す薬ですので、増殖したアクネ菌を殺菌し、炎症を鎮めることが期待できます。
ところが抗生物質は、良い菌は残し、悪い菌だけ殺すという選択ができません。
体の中にはさまざまな体に良い働きをする菌が棲んでいます。これらの善玉菌に対しても影響を与えてしまう懸念があるのはデメリット。
そもそも、決まって重症化するわけではないけれど次から次にできてしまう、繰り返すタイプのニキビには、地道に塗り薬などで対応するしかないのです。
その点、症状をピンポイントではなく体全体で捉えるのが、東洋医学の考え方。体を「気(き)=エネルギー」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素に分け、これらのバランスが崩れたために不快な症状が出ていると考えます。
そこで、漢方薬に配合されたさまざまな生薬が、3つの要素にバランスよく機能するよう働きかけることで、本来人間に備わった自然治癒力を上げ、症状を改善していきます。
ニキビ治療では、エネルギー(「気」)を整え、「血」と「水」をスムーズにめぐらせることにより、体内の余分な熱を取り除き、皮膚に現れたニキビや吹き出物(膿)を排出していくことを目指します。
そのため、ニキビを改善する漢方薬を飲んでいたらニキビと一緒に冷えが治ったとか、便秘が改善したということが起こりえるのです。
副作用やデメリットは?
自然由来の生薬を使う漢方薬は、副作用が少ないイメージがありますね。確かに副作用は少ないですが、薬である以上、まったくないことはありません。
漢方薬だからと言って甘く考えず、しっかり用法・用量を守って飲むことは大切です。
また、漢方薬はその仕組み上、その人の体質に合わせて飲む必要があります。
もともと「気」が不足がちの虚弱体質の人(東洋医学では「虚証(きょしょう)」と呼びます)と、「気」がみなぎっているパワフルな体質(東洋医学では「実証(じっしょう)」と呼びます)の人が、同じニキビだからといって同じ薬を飲んでも、なかなか思うような効果が出ないことがあるのです。
自分に合う薬を見極めるには、漢方医を受診するか、漢方に詳しい薬剤師に相談するなどして自分の体質を診断してもらい、最適なものを選んでもらうと良いでしょう。
漢方薬のメリット・デメリットを知って、ニキビ対策に役立てよう
複数の生薬を配合することで、全身の調子を整えながら症状に働きかける漢方薬。対して科学的に分析された精製薬物を使う西洋薬では、症状に対してピンポイントで効果を得やすいというメリットがあります。
漢方薬も西洋薬も、どちらにもメリット・デメリットがあるため、どちらかに偏ることなく、自分の体の状態に合わせて上手に取り入れるのが賢いやり方。
体質を問わず誰でも一定の効果を得られるよう、独自に複数の生薬を組み合わせ、ビタミン、アミノ酸類なども配合した薬(和漢薬)もあるので、検討してみるのも良いでしょう。
「漢方薬って本当に効くのかな?」「よく分からないからやめておこう」と思っていたあなた。よく知らないままスルーしているのはもったいないかもしれません。繰り返すニキビの悩みから抜け出すためのひとつの選択肢として、扉を開いてみてはどうでしょうか?